長話

主にクイズについて書きます

レリーフ/インタリオ ——パラレル順

そもそも「レリーフ」と「インタリオ」は対概念として結びにくい。

コトバンクで「インタリオ」を引くと、ブリタニカには「浮刻細工のカメオに対する。」、世界大百科事典には「ローマ時代にとくに発達したカメオ(浮彫の玉)とともに,昔から貴重視されている。」とあり、インタリオの対概念としてはカメオを置くべきであり、レリーフ⇔インタリオのパラレルは厳密性を欠くことが簡単に見て取れる。

すなわち、「浮き彫り」という言葉に対応する用語には「レリーフ」「カメオ」の少なくとも2種類があるものの、パラレルによって一意性を裏付ける力は無く、嘘問に類する。(それどころか、インタリオからのパラレル先としては本来カメオの方が妥当性が高い)

記事を書いている段階で良い代替案が浮かばなかったため、この偽パラレルが本来正当なものであるとして疑似的に利用する。

 

 

まずは以下の2問を挙げる。

Q.1-1

美術用語で、浮き彫りのことを「レリーフ」といいますが、沈み彫りのことを何というでしょう?

Q.1-2

美術用語で、沈み彫りのことを「インタリオ」といいますが、浮き彫りのことを何というでしょう? 

これらは同じ主題を取り上げていながら、かなり性格が異なっている。

1-1は「よりマイナーな概念を問う」一方で、1-2は「名前はメジャーな概念の意味を問う」という形を取っている。

このような場合、出題者はターゲット(解答者)に対してどのような問いかけをしたいかに合わせてパラレル順を選択する必要がある。「レリーフの対義語、知ってる?」と問いたければ1-1、「レリーフの意味、知ってる?」と問いたければ1-2を選ぶことになるだろう。

ただし、「レリーフの意味、知ってる?」と問う場合、ターゲットから正解が出る可能性が極めて低くなる。ターゲットがこのクイズを通して得る感想は「あっ、レリーフってそういう意味だったんだ」のようなものと想定される。(対概念としての)レリーフの意味を解していない(と予想される)プレイヤーは、インタリオなる暗号じみた概念からパラレルを振られたとしても正解を導くことができない。つまり、ここでは「1-1よりも1-2の方がクイズとして高レベルである一方、ターゲットのレベルは1-2の方が低い」というような現象が起きている。

また、1-2で想定するターゲットに対して1-1を出題したとき、前フリを聞いた段階で先の「あっ、レリーフってそういう意味だったんだ」が来る。にもかかわらず問われている内容は未知の概念であるため、答えを聞いた時に「なるほど……?」のような疑問符を伴う感想しか浮かばない。

レリーフ自体の意味を問いたい場合、パラレルを排したより適切な出題法を一考する余地があることを加味すれば、そもそも1-2のパラレルは主題の切り出し方としてあまり適切ではない、などとも考えられるが、「レリーフはインタリオって言葉の対義語としての意味が(orも)あるんだよ」と示すことが題意であれば、パラレル型で出題することにも意味はある。……